流氷への旅 (集英社文庫) 価格: 800円 レビュー評価:5.0 レビュー数:1 この本は70年代に書かれたものだが時代背景に全く古さも無く、ただひたすらに切なくなるような恋心が描かれている。途中何度も自分の片思いのときの心情が重なって同感し、もらい泣きしてしまうほどよく描かれた作品だと思う。「冬のソナタ」に似た純愛物語だった。
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白き旅立ち (新潮文庫 わ 1-4) 価格: 500円 レビュー評価: 4.5 レビュー数:2 あなたは解剖のために献体ができますか? ここでいう「解剖」とは、病死の原因をつきとめるための「病理解剖」ではなく、テレビドラマなどでおなじみの「法医解剖」でもありません。医学生の実習用に数ヶ月間に渡って行われる本当の意味での「正常解剖」のことです。私にはとても考えられません・・・。 ところが150年も前、まだ人体を解剖(腑分け)することなど考えられなかった時代に、志願して献体第1号となった人がいたのです。それも医学とは無縁とも言える、うら若き遊女が、それを望んだのです。 駒込の貧しい家庭の長女であった美幾は、10歳の時から奉公に出され、16歳の時吉原に60両と引換に売られていく |
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男と女 (講談社文庫) 価格: 660円 レビュー評価:2.5 レビュー数:3 男と女が何故分かり合えないかを、故事の引用を含め著者なりに論じたもの。しかし、結局は"性とエロス"の世界に行くのである。
こうした本を書く場合、「男と女」の問題を論じる以前に、まず人と人とは真に理解し合えるか否かという哲学的考察が必要であろう。「男と女」はすれ違っているかもしれないが、例えば男同士でもすれ違っているのである。すぐさま「男と女」を対立軸にして考え、著者の得意な"性とエロス"の世界に持っていく展開はウンザリである。
年輪を重ねるに連れ、"性とエロス"の世界にのめり込んで行く著者。誰かストップを掛ける人はいないのだろうか。 |
エ・アロール-それがどうしたの 価格: 1,680円 レビュー評価:4.5 レビュー数:7 老人ホーム内での人間模様を扱いながら、とても読後感の爽やかな明るい本です。私が一番感じ入ったのは、施設長の来栖に恋した71歳の女性を来栖が困惑しながらもベッドの中で抱きしめるところ。彼女はまるで女学生のような一途さと老獪さでまんまと来栖を誘い込みますが、来栖に抱きしめられて暫くするとあっさり現実に戻って、「ありがとう、おかげで素敵な夢を見せてもらったわ」と言って微笑むんです。いくつになっても人間って変わらないんだなあ。いくつになっても人を好きになったらその人に好かれたいと願い、相変わらず傷ついたり、悩んだりするんだなあ、と何かせつない気持ちにさせられました。 |
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あじさい日記 価格: 1,680円 レビュー評価:2.0 レビュー数:10 一言で言えば、妻の日記を盗み読みして一喜一憂して行く夫を描いた物語。
500ページもあるわりには軽い小説であっと言う間に読み終えた。
毎回渡辺作品を読み終わって思う事だが、どうしても夫の目線が高すぎる感がしてしっくり来ない。
男女平等を声高く叫ぶつもりはないけれど、時代錯誤の考え方が棘となって残る作品。 |
雲の階段 (上) (講談社文庫) 価格: 620円 レビュー評価:5.0 レビュー数:2 誠意ある無免許医師の心模様が臨場感たっぷりに描かれた作品。
いつばれるのだろう、いつばれるのだろう・・・とハラハラしながらあっという間に読んでしまいます。
一つの医療行為が思わぬ形で波紋を呼び、罪を問われるどころか
本人の気持ちとは裏腹に名医と賞賛され、やがては医局の中心に招かれてしまうことに・・・・。
本物の医師だと信じきっている仲間や恋人、引き立ててくれた上役・・・いまさらなんといえばいいのか!
どうやっても逃げることができない状況下で、じりじりと追い詰められていく心の震えが、リアルに伝わってきます。
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